2011 08.28 嵐山の森
先日「嵐山の森のこれからに向けて」というシンポジウムに参加してきました。
天龍寺さんやお土産物屋さんなどがある側から見るとちょうど川の向こうの山、
つまり花筏のすぐ後ろの山なのですが、
このあたり一帯は国有林です。
この、渡月橋の向こうに見える山々
広さは59.03ヘクタール・標高30~382m
古くは天龍寺の寺領だったのですが、
明治4年の「社寺上知令」により国有林となりました。
緑が生い茂っていて平和そうに見えるでしょう?
普段は景色の一部としてすっかり溶け込んでいるので、山そのものを意識して見られたことはあまりないのではないでしょうか?
この山々が今、問題だらけなんですって(^^ゞ
この山は ・北向き斜面で日当たりのよくない場所が多い。
・急斜面で表土の流亡が激しい。
という条件の悪い山で、
外観は美しいが下層植生が育ちにくい状態なのに加え、
シカの増加により林内の下層植生は消滅しつつあり、
次代を担う稚樹の生育も十分ではない。
という現状なのです。
わかりやすくいうと、
今ここに見えている緑の木はほとんどが常緑樹です。
イコール 一年中葉を落とさない
イコール ただでさえ日当たりがあまりよくないのに、地表まで日光が届きにくい
イコール 下草や新しい芽が育ちにくい
プラス ただでさえそんな状況なのにシカが増えすぎてわずかな芽や草も食べつくされている
ということ。
桜やもみじもなかなか育ちにくい状況のため、このままだといつか寿命が来たとき一斉になくなってまう危険性もあるそう。
このような状況に対応するため、
京都大学の『嵐山再生研究会』という方々
が中心となって、
京都大阪森林管理事務所
京都府立大学で治山を専門になさっている三好岩生先生
鹿などの害の専門家森林総合研究所の高橋裕史先生などが
現状調査やモニタリングを実施してこられました。
私もこのモニタリングには数回参加させていただきましたが、
嵐山を毎日眺め、嵐山の恩恵を受けて商売させていただいているのに、
参加するまでは山のことなど全く考えたこともなく、
こんなに問題がたくさんあるということを知り、驚きました。
そして、嵐山とは直接何の関わりもない方々がこんなに真剣に嵐山のことを考え研究して良くしようとして下さっていることを本当にありがたく思っています。
まだまだ長い年月が必要ではありますが、
「渡月橋から眺める山」から「中へ入る山(トレッキング等を楽しめる山)」へとなったらいいなあというのがみんなの思いです。
急斜面なので逆に開けた場所はとても見晴らしがよく、観光地“嵐山”や天龍寺さんなどを見渡せるのです。
この景色を観光のお客様にも見ていただける日が一日も早く来ますように☆
常緑樹が多いとはいえ、秋になると何色絵具がいるだろう?ってくらいいろんな色に色付き、なんとも美しい色合いの山に変身します。
もう間もなくですね♪